三角形の工場への想い

 マイスターはものづくり企業です。
 そこには現代を果敢に生きる人たちが働いています。
 そんな人たちが働く三角形の工場には3つの想いが込められています。

 マイスターの工場は一辺70mの正三角形でできています。工場を訪れた人には三角形では無駄な空白(スペース)ができてしまうのではないかとよく聞かれます。確かに作業空間としては無駄かもしれません。しかし、そこに1輪の花が置かれていたり、小さな絵画が掛けられているとイメージしてください。その空間はこころのユーティリティを醸し出してくれるのです。
 人の人生は即興的な有益ばかりではなく、時として無駄と思われるような時間や空間を必要とします。その一見無駄と思われることが休息であったり、明日への活力や気付きを生み出す元となることもあります。それこそがマイスターのものづくりの原動力です。

 私たちは作業効率を高めることを心掛けていますが、それ以外のものを一切排除しようとは考えていません。休息を求めたり、思索にふけったり、時には快い音楽を聴くといった一見有益ではない事象や空間からこそ新しいものづくりの発想が生まれるものと信じています。
 工場内の作業では整理、整頓、清掃といった3Sや平行直角といった基本を大切にしています。しかし、それだけでは人の考えやアイディアは画一的になり、自由な発想は生まれにくくなります。そこでシェルピンスキーのギャスケット※のように無限の広がりを持つよう、平行直角、左右、東西南北といった既成概念を払拭し、無から生み出すものづくりの発想を求めて三角形に行き着きました。常に時代やお客様のウォンツに耳を傾け最高の道具作りをするため絶え間ない技術技能の探求と、既成概念にとらわれないものづくりに挑む場を突き詰めた結果が現在の三角形の工場なのです。

 工場建設の基本的な概念となったシェルピンスキーのギャスケット※。工場の躯体は一辺5mの鉄骨で構成されています。基礎から天井まですべて5mの正三角形のギャスケットが繋ぎ合わされているため、大きな地震がきても歪むことはありません。地震に対しても圧倒的な強度を示し、あの東日本大震災の時も亀裂一つ入りませんでした。
 また、正三角形の工場の頂点に立つと一目で60度に広がる工場を把握できます。人の水平視野は180度から200度といわれていますがはっきりと視認できるのは60度ほどです。通常の四角形の空間では首を左右に振らないと全体を把握できないのと比べて、三角形の空間は私たちを無限の広がりに誘ってくれます。
 そして三角形の工場は機械の配置、仕事の流れ、情報伝達、物の移動など直角に迂回することなく無駄を減らし生産性を高めます。

 さあ皆さん、この無限の可能性を持った空間へお越しください。一緒にものづくりへの熱い想いを語り合いましょう。お待ちしております。

※シェルピンスキーのギャスケット

 工場建設の基本的な概念となったシェルピンスキーのギャスケット。相似的な三角形からなるフラクタル図形。

 MEISTERのテセレーション
 マイスターの正三角形△を二つ合わせると菱形◇になります。この◇の各辺に凸の矢印と凹の矢印を描くと図1のようになります。この凹の矢印は時代の要求や技術、情報を社内に吸収することを表しています。そして凸の矢印は、その入った情報や、技術、要求などを社内で咀嚼、応用し新たな価値として社会に発信することを表現しています。
 またこの◇のピースを3つ合わせると図2のような正四角体の立体になり、平面で見ると三次元に変わります。そして更にピースをジグソーパズルのようにつなぎ合わせていくと隙間のない無限の平面が広がって、ものづくりの永遠の繁栄を願って……